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【資格取得?】カッパ捕獲許可証
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この度、私、伊藤裕一は「カッパ捕獲許可証」を正式に取得いたしましたことを、ここに厳粛にご報告申し上げます。
以上。……で、済ませてくれるほど、皆様が甘い読者ではないことは重々承知している。
皆様の脳裏には今、次のようなもっともな疑念が渦巻いているはずだ。
「おい伊藤、お前は資格取得の旅を一旦ストップするのではなかったのか?」
「まさかネットで囁かれている『資格取得数・芸能界2位タイ』という真偽不明の怪情報に踊らされ、手っ取り早く単独2位に抜け出すために、こんな姑息な手段を使ったのではないだろうな?」と。
その鋭く胸を突く指摘に対し、私は敢えて、冷徹にこう言わせてもらう。
ノーコメントである、と。
そもそも「カッパ捕獲許可証」とは何か。
これは、岩手県遠野市が公式に発行する、伝説の妖怪・河童(カッパ)の捕獲を法的に(?)許可する証明書である。「頭の皿を傷つけない」「傷つけずに捕まえる」など、伝承に基づいた厳格な捕獲ルール(遠野市カッパ捕獲7ヶ条)が厳密に定められている。
つまりこれは、古来より日本人のDNAに刻まれてきたアニミズム(自然信仰)や未知なるものへの畏怖の念、そして「物語」を後世に語り継ぐという、文化的保存を担う極めて高度な資格と言っても過言ではないのだ。
想像してみてほしい。
ある日、学校の校庭に、どこからともなく一匹のカッパが迷い込んでしまったという極限の異常事態を。
野犬であれば対処法もあろう。しかし、相手はカッパである。一体いかなる手段で敷地外へ退去願えばいいのか、教育現場は完全なパニックに陥るはずだ。
そんな時こそ、有資格者である私こと「カッパハンター裕一」の出番なのである。
クラスの心無いお調子者に、油性マジックで太い眉毛を描かれるという取り返しのつかない屈辱をカッパが受ける前に、私は速やかに彼を安全な場所へと移送し、教育現場の平和と生徒の「学ぶ権利」を死守することができるのだ。
さらに、この資格は人間社会の闇にも光を当てる。
皆様の周りにも、心無い理由から「カッパ」というあだ名を押し付けられている哀しき者がいるかもしれない。そんな時、専門家である私が介入し、「いいかい、彼は本物のカッパではない。生物学的に完全に人間だ。今日から彼をカッパと呼ぶのは直ちにやめたまえ」と、有資格者の圧倒的な権威をもって毅然と注意することができるのである。
「捕獲許可証」と物騒な名が打たれてはいるが、私の真の目的は排除ではない。カッパという異界の隣人との、平和的な共存共栄を目指すことこそが、私に与えられた大いなる使命だと自負している。
【かっぱのみなさんへ】
わたしは、かっぱのみなさんが、わたしたちにんげんに「がい」をおよぼすそんざいだとは、すこしも思っていません。
あなたたちのそんざいをみとめ、むやみにはいじょするようなまねは、けっしてしたくありません。
もしかしたら、にんげんのなかには、あなたたちをよくおもっていないひとたちがいるかもしれません。あなたたちのすがたにおどろいて、りふじんなこうげきをくわえようとするひとがあらわれるかもしれません。
そんなときは、たたかわずに、まよわずにげてください。そして、このせかいには、わたしのようなにんげんもいるということを、どうかおぼえておいてください。
しかし。
もし、あなたたちかっぱのなかにも「わるいかっぱ」がいて、わたしたちにんげんのしゃかいに、めいかくにふりえきをおよぼすようなことがあれば。
そのとき、わたしはだまってはいません。
わるいかっぱたちよ、ふるえてねむれ。
許可番号 011321号
伊藤裕一
